お客様から教わったこと

私は片付け方法を教える講師・先生ですが、お客様は私よりも年上の方が多く、人生の先輩でもあります。
子供に何かを教える時は「知識・経験」を教えますが、人生の先輩相手となると勝手が違ってきます。

「普段お使いにならないモノは別の場所に保管しましょう」
「そうね~分かるけど、どうしても気分が乗らないのよ」

「完全に要らないと思われるモノは処分お願いします」

「色々忙しくて、先週は〇〇があって家の事が出来なかったのよ」


片付け方法をお伝えしても、のらりくらり~かわされてしまいます。
仕事を始めて間もない頃は、その様子にヤル気があるのか疑ってしまったのですが、そういうお客様と触れ合ううちに、別の景色が見えるようになってきたのです。

ご家族の介護・お世話に追われ家の中をどうこうする余裕が無くなっていたのです。
廊下や部屋の床にまでモノが積み重なる状況になるのは、ご本人のヤル気以外の要素が大きく影響していきます。


お客様の抱える孤独、ご自身に向けられる批判、手伝ってくれる人への申し訳なさ。

「お片付け手伝いますよ!」と軽い気持ちで始めたこの仕事は、お客様の抱える心の闇までも白日の下に晒すおっかない仕事だったのです。

依頼者である奥様の私物は片付けられても、ご家族のモノはご本人の許可なく勝手に触れません。更に家族皆さんで共有する部分も自由に動かせず、否応なく家族の力関係を知ることになるのです。


「本当はもっとキレイにしたいけど勝手に動かすと怒られるので…」
世間の良かれが、家の中と言う小さな世界では通用しない。


目に見えない小さなハードルが片付けを阻みます。

お片付けが苦手で、だらしない人が片付けられないとイメージしていましたが、元々キレイ好きでマメな方が多いのです。そして片付けたくても家族内に相談できる相手がいない。
孤独なお客様の心に希望の光が差し込むようにお片付けの伴奏者として頑張ってまいります。

0コメント

  • 1000 / 1000